包丁の切れ味が悪くなると、料理の効率も気分も下がっちゃいますよね。トマトがうまく切れなかったり、鶏肉の皮が滑ったり…。いざ自分で研いでみようと砥石を探すと、必ずと言っていいほど目にするのが、シャプトン(Shapton)の「刃の黒幕」シリーズ。
プロの料理人からDIY愛好家まで、幅広く支持されている人気の砥石ですが、いざ買おうとすると種類が多すぎて…。特に悩むのが、刃の黒幕の組み合わせじゃないかなと思います。
おすすめの3本セットはどれ? そもそも家庭での包丁研ぎなら番手はいくつを選べばいい?
#1000(オレンジ)と#5000(エンジ)のセットが定番みたいだけど、#1000と#2000(グリーン)の比較も気になるし、DIY・工具用にも使えるのか…。
それに、荒砥(あらと)、中砥(なかと)、仕上げ砥(しあげと)って、全部揃えないといけないのかも分かりにくいですよね。
この記事では、私なりに刃の黒幕の基本的な知識から、用途に合わせたおすすめの組み合わせまでを、できるだけ分かりやすくまとめてみます。
私と同じように「刃の黒幕、どれを選べばいいんだろう?」と悩んでいる方の参考になれば嬉しいです。
- 刃の黒幕の番手(荒砥・中砥・仕上げ砥)の役割
- 包丁研ぎにおすすめの基本的な組み合わせ
- 定番セット(#1000と#5000など)の特徴
- DIY・工具で使う場合の選び方
刃の黒幕 組み合わせの基本

まずは、刃の黒幕を選ぶうえで絶対に欠かせない「番手」の基本についておさらいしてみましょう。荒砥、中砥、仕上げ砥、それぞれの役割と必要性が分かれば、自分に必要な組み合わせも自然とイメージしやすくなるかなと思います。
砥石の番手とは?
砥石の「番手(ばんて)」っていうのは、砥石の粒度(表面の粗さ)を示す数字のことですね。この数字が小さいほど粗く(ザラザラしていて研削力が高い)、大きいほど細かく(スベスベしていて仕上がりが滑らか)なります。
刃の黒幕シリーズは、この番手が色で直感的に分かりやすく分けられているのが大きな特徴です。参照:シャプトン公式サイト)
モス(#120)、オレンジ(#1000)、エンジ(#5000)といった具合に、ケースの色と砥石本体の色が統一されていて、複数持っていても管理しやすいのが人気の理由みたいですね。
番手の種類と目安
- 荒砥 (あらと): #120〜#400程度 役割: 刃こぼれの修正、刃の形の修正。研削力が非常に高い。
- 中砥 (なかと): #700〜#3000程度 役割: 日々の研ぎ、切れ味の回復。包丁研ぎのメイン。
- 仕上げ砥 (しあげと): #5000〜 役割: 切れ味の向上、刃先の滑らかさUP。
刃の黒幕には、さらに細かい#12000(クリーム)や、驚異の#30000(ムラサキ)なんていう超仕上げ砥もありますが、まずは基本の3種類(荒・中・仕)の役割を押さえておけば大丈夫そうです。
荒砥の役割と選び方
荒砥(あらと)は、番手でいうと#120(モス)、#220(ブルーブラック)、#320(ブルー)あたりが該当します。(参照:日本工業規格 JIS R6001 砥石の粒度分類(日本規格協会))
これは、包丁の刃が大きく欠けてしまった(刃こぼれ)時や、包丁を落として先端が折れた時などに、刃の形自体を修正するために使うものです。(参照:東京都立産業技術研究センター「刃物の研ぎ方と材料加工基礎」)
イメージとしては「刃を削り取る」感覚に近いかもしれません。
なので、日常的な包丁研ぎで毎回使うものではありません。むしろ、普通のメンテナンスで荒砥から始めると、刃がどんどん減ってしまうので注意が必要ですね。
すでに持っている包丁の状態が良く、大きな刃こぼれもしていないなら、最初は中砥と仕上げ砥だけでも十分かもしれません。ただ、万が一「あっ!」と落としてしまった時のために、1本持っておくと精神的な安心感はありますね。
中砥の重要性
中砥(なかと)は、包丁研ぎの「メイン」であり「心臓部」とも言える砥石です。「最近、切れ味が落ちてきたな」「トマトが潰れるようになったな」と感じた時に、切れ味を回復させるために使うのがこれですね。
刃の黒幕でいうと、一番人気の#1000(オレンジ)や、#1500(ブルー)、#2000(グリーン)が中砥に分類されます。
特に#1000(オレンジ)は「中砥の決定版」とも言われていて、研削力(削る力)と仕上がり(滑らかさ)のバランスが非常に良く、最初に買うべき1本として、多くの人におすすめされています。
家庭用のステンレス包丁や鋼(はがね)の包丁、どちらにも使える万能さが魅力ですね。(参照:グローバル包丁公式サイト)
仕上げ砥で切れ味を追求
仕上げ砥(しあげと)は、中砥で研いだ後の「研ぎ傷」をさらに細かく滑らかにして、切れ味を格段にアップさせるための砥石です。
中砥(#1000)だけでも、買った当初の切れ味、あるいはそれ以上にはなりますが、仕上げ砥(#5000)を使うと、食材に吸い付くような、鋭い切れ味が手に入るとか。トマトや鶏皮がスッと切れる感覚は、一度味わうとクセになるみたいですね。
刃の黒幕では#5000(エンジ)が、#1000との組み合わせで一般的によく使われています。
さらに上には#8000(メロン)や#12000(クリーム)といったプロ向けの超仕上げ砥もありますが、家庭用としては#5000があれば十分すぎるレベルかなと思います。
料理のストレスを減らし、楽しさを増やすためにも、中砥とセットで揃えるのが定番の組み合わせになっています。
用途別!刃の黒幕 組み合わせ例

基本がわかったところで、次は具体的な「刃の黒幕 組み合わせ」のパターンを見ていきましょう。包丁研ぎがメインの場合や、DIY・工具用など、考えられる用途に合わせたおすすめのセットを紹介します。
おすすめの3本セット
もし「荒砥」「中砥」「仕上げ砥」をバランスよく揃えて、どんな状況にも対応できるようにしたい!という場合、おすすめの3本セットは以下の組み合わせが鉄板のようです。
おすすめ3本セットの例(万能型)
- 荒砥: #220(ブルーブラック) 理由: 大きな刃こぼれ修正用。#120(モス)は強力すぎる場合があるので、#220が比較的扱いやすいようです。
- 中砥: #1000(オレンジ) 理由: 日々のメンテナンス用。研削力と仕上がりのバランスが最強。
- 仕上げ砥: #5000(エンジ) 理由: 究極の切れ味追求用。#1000との相性が抜群。
これだけあれば、大きな刃こぼれの修正から、日々のメンテナンス、そして感動レベルの鋭い切れ味の追求まで、包丁研ぎに関する全てをカバーできますね。
ただ、先ほども触れたように、荒砥(#220)は使用頻度がかなり低いです。「包丁を落としたり、硬いものにぶつけたりしない限り、出番はないかも」と考えると、初期投資を抑えたい場合は、まず下の「#1000と#5000」の2本セットから始めてみるのが、現実的で全然アリだと思います。
定番の#1000と#5000
刃の黒幕の組み合わせで、最も定番で、かつコストパフォーマンスにも優れると言えるのが、この#1000(オレンジ)と#5000(エンジ)の2本セットです。
「中砥の王様」である#1000で日々の研ぎを行い、切れ味を回復させ、「仕上げの定番」である#5000で刃先をビシッと鋭く決める。この2本があれば、家庭用の包丁研ぎとしては十分すぎる、というか、ほぼゴールと言ってもいい性能を発揮してくれるみたいです。
私も最初に揃えるなら、まずこの組み合わせを検討するかなと思います。これで物足りなくなることは、よほどのこだわりがない限り無さそうです。
「砥石は決まったけど、そもそも包丁の研ぎ方自体がよくわからない…」という場合は、研ぎ方の基本ステップや角度の保ち方などをまとめた記事も参考にしてみてください。
#1000と#2000の比較
中砥選びで「あれ?」と手が止まるのが、#1000(オレンジ)と#2000(グリーン)の比較ですよね。私もここはかなり悩みました。どちらも「中砥」カテゴリなので、どう使い分けるのか分かりにくいです。
簡単に言うと、#1000は研削力が高くスピーディーに研げる万能型。一方、#2000は#1000よりも細かく、より「仕上げ砥に近い中砥」という位置づけのようです。
それぞれの特徴をまとめてみます。
| 番手 | 特徴 | おすすめな人 |
|---|---|---|
| #1000 (オレンジ) | 研削力が高い(よく削れる)。 万能な中砥の定番。 | ・まず1本揃えたい人 ・効率よく研ぎたい人 ・#5000と組み合わせる人 |
| #2000 (グリーン) | #1000より細かい(仕上がりが滑らか)。 研削力は#1000より劣る。 | ・#5000や#8000の効果を最大にしたい人 ・より丁寧な研ぎをしたい人 |
#1000(オレンジ)は「万能のエース」
#1000は、中砥として必要な「研削力」がしっかりあります。切れ味が鈍った刃を、効率よく鋭い状態に戻す力があるんですね。#5000(仕上げ砥)と組み合わせるなら、#1000 → #5000の順番で使うのが、最も効率的で定番の研ぎ方です。
#2000(グリーン)は「繋ぎのスペシャリスト」
#2000は、#1000よりも研削力は劣りますが、そのぶん仕上がりは滑らかです。#1000で研いだ後の「研ぎ傷」を消しつつ、#5000や、さらに上の#8000(メロン)といった超仕上げ砥への「橋渡し」として使うと、仕上げ砥の能力を最大限に引き出せる、ということみたいですね。
なので、#1000 → #2000 → #8000 のように、より高いレベルの仕上げを目指す場合に真価を発揮する番手と言えそうです。
家庭用で#5000まで、と考えるなら、#2000は必須ではなく、#1000(オレンジ)を選ぶのが合理的かなと思います。
包丁研ぎにおすすめの番手
結局、家庭での包丁研ぎにおすすめの番手はどれか? というと、やはり#1000(オレンジ)が中心になるかなと思います。
まずは#1000を1本だけ使ってみて、その切れ味に満足できなくなったら、ステップアップとして#5000(エンジ)を買い足す、という流れが、無駄がなくて良さそうです。
注意点: 砥石の使い方と安全性
刃の黒幕シリーズは、従来の砥石のように「長時間水に浸しておく必要がない(いわゆる“水に漬けっぱなし”が不要)」のが大きな特徴です。使用前に5分程度吸水させるか、使用中も適宜水をかけながら研ぐのが一般的です。(出典:株式会社シャプトン「刃の黒幕」公式サイト)
また、研ぐ際は包丁の角度(だいたい10円玉2枚分くらい)を一定に保つことが重要です。最初は難しく感じるかもしれませんが、こればかりは練習が必要ですね。研ぎ方については、説明書や専門の動画などをよく確認してください。
砥石が滑らないよう濡れ布巾を敷いたり、専用の砥石台を使ったりして、安全な場所で作業し、ケガには十分注意しましょう。
DIY・工具用の砥石
刃の黒幕は、包丁だけでなくDIY・工具用の砥石としても非常に評価が高いようです。
特に、カンナやノミ、彫刻刀、あるいはハサミといった、精密な切れ味が求められる道具の手入れに使われています。その高い研磨力と、研ぎ上がりの速さ(研ぎ汁がよく出る)が、硬い鋼材の工具とも相性が良いんですね。
工具研ぎの場合も基本的な考え方は同じです。
- 刃こぼれや形の修正: #120 〜 #320 (荒砥)
- 切れ味の回復: #1000 (中砥)
- 精密な仕上げ: #5000, #8000 (仕上げ砥)
といった具合に、目的に合わせて番手を選んでいる人が多いみたいですね。
衛生面の考慮
包丁と工具で砥石を使い分ける人もいれば、兼用している人もいるようです。ただ、カンナやノミを研いだ砥石で、そのまま食材に触れる包丁を研ぐのは、衛生面を考えるとちょっと気になりますよね。
可能であれば、キッチンの道具とは分けて管理するのが無難かなと私は思います。
最適な刃の黒幕 組み合わせは
ここまで、刃の黒幕のいろいろな組み合わせを見てきました。
結局のところ、最適な刃の黒幕 組み合わせは、「何を研ぎたいか」そして「どれくらいの切れ味を求めるか」という、ご自身の目的によって変わってくるんだな、と改めて感じます。
最後に、目的別のおすすめパターンを私なりにまとめてみます。
私なりの結論:目的別おすすめセット
- パターン①:コスパ重視・家庭用スタンダード → #1000(オレンジ)と #5000(エンジ)の2本セット。 (まずはこれで十分すぎる切れ味が手に入ります)
- パターン②:万全を期したい・道具を長く使いたい → #220(ブルーブラック) + #1000(オレンジ) + #5000(エンジ)の3本セット。 (万が一の刃こぼれにも対応できる安心セット)
- パターン③:切れ味をとことん追求したい → #1000(オレンジ) → #2000(グリーン) → #8000(メロン)など。 (プロや、柳刃包丁など和包丁を研ぐ方向けのステップ)
私の場合は、まずは定番の#1000と#5000のセット(パターン①)から試してみて、包丁研ぎの感覚と、その切れ味の世界を体験してみようかなと思っています。
購入前の最終確認を
砥石の性能や価格、セット内容、推奨される使用方法は、変更される場合もあります。
購入を検討される際は、最新の情報を公式サイトや正規販売店で必ず確認するようにしてくださいね。
この記事が、あなたの砥石選び、そして「刃の黒幕」の組み合わせ選びの参考になれば幸いです。

