上級救命講習のメリットとは?就職や履歴書への効果も解説

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上級救命講習のメリットとは?就職や履歴書への効果も解説
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「万が一のとき、大切な家族や友人を守れる自分でいたい」。そんな思いから上級救命講習に興味を持ったものの、いざ申し込もうとすると、普通の救命講習との違いや具体的なメリットがいまいち分からずに迷っていませんか。実は私も最初はそうでした。「普通救命講習でも十分なんじゃないか?」「わざわざ1日かけて受ける意味はあるのかな?」と。

8時間という長い講習時間や最後に待ち受ける効果測定(筆記・実技の確認)の存在、そして「もし不合格になったらどうしよう」という不安や難易度についても気になりますよね。さらに、これから就職活動を控えている方やスキルアップを目指している方にとっては、履歴書にどう書けばいいのか、仕事の現場で本当に評価されるのかといった実利的な側面も重要な判断材料になるはずです。

この記事では、公務員や警備員を目指す方はもちろん、防災センター要員としての活躍を視野に入れている方、あるいは単純に日々の備えとしてスキルを磨きたいと考えている一般の方に向けて、実技に適した服装の選び方から費用、更新の手続きまで、私の経験も交えながら徹底的に解説します。

この記事のポイント
  • 普通救命講習との決定的な違いと技術的なメリット
  • 就職活動や仕事、特に警備・福祉業界での評価
  • 効果測定の難易度や当日の流れ
  • 受講当日の服装や準備するもの
目次

技術面で見る上級救命講習のメリット

まずは、スキルとしての側面から見ていきましょう。多くの人が受講する「普通救命講習」と比べて、上級救命講習にはどのような技術的な優位性があるのでしょうか。なぜなら、救急車が現場に到着するまでの時間は伸びる傾向にあり、最新の統計(令和5年)では全国平均で約10.0分、令和元年と比べて約1.3分延伸しています(出典:総務省消防庁『令和6年版 消防白書』)。この「空白の時間」を埋めるために、なぜ上級のスキルが役立つのか、その中身を深掘りしていきます。

救急車到着までの所要時間が年々伸びていることを示すグラフと、空白の10分間の重要性
救急車到着までの平均時間は約10分に延伸
  • 普通救命講習との違いや内容
  • 小児や乳児への心肺蘇生法
  • 8時間の講習時間で学ぶ技術
  • 実技に適した服装の選び方
  • 資格の有効期限と更新手続き

普通救命講習との違いや内容

一番の大きな違いは、やはり対応できる範囲の広さと深さ、そして「判断の質」です。一般に「普通救命講習」と呼ばれるコースは自治体によって複数タイプ(成人中心、小児・乳児中心など)が用意されていることがありますが、代表的な内容は心肺蘇生(胸骨圧迫・人工呼吸)とAEDの扱い、気道異物除去、止血などの基礎を、数時間で集中的に学ぶものです。対して上級救命講習では、これらに加えて小児・乳児への対応、外傷の手当(ファーストエイド)、搬送法、傷病者管理までをまとめて学ぶことが多く、現場で「次に何を優先すべきか」を判断する材料が増えます。

普通救命講習と上級救命講習の講習時間・内容・試験の有無などを比較した表
上級救命講習と普通救命講習の主な違い一覧

時間の差が生む「マッスルメモリー」

講習時間の長さも、普通救命が数時間(例:3時間)なのに対し、上級救命は8時間と丸一日かかるのが一般的です。これだけ聞くと「長いなあ」と感じるかもしれませんが、この差によって、知識を詰め込むだけでなく、人形を使った実技シミュレーションを繰り返し行える時間が増えます。結果として、頭で考えなくても体が手順を思い出せる状態、いわゆる「マッスルメモリー(筋肉の記憶)」を作りやすくなります。

いざという時、人は焦りやすいものです。そんな時でも、「手順を反復してきた」経験があるだけで、最初の一歩が踏み出しやすくなるのが、長時間コースの強みです。

8時間の反復練習によるマッスルメモリーの効果と、外傷手当・搬送・回復体位のイラスト解説
反復訓練で頭が真っ白でも体が動く「マッスルメモリー」を育てる
項目普通救命講習上級救命講習
所要時間数時間(例:3時間)8時間(自治体の標準例)
対象主に成人(※コースにより小児・乳児中心の場合もあり)成人・小児・乳児(新生児は自治体により含む場合あり)
試験なし〜実技確認(効果測定を行う自治体もあり)筆記・実技の確認(効果測定)を行うことが多い
到達目標一次救命処置(心肺蘇生・AEDなど)を実施できる一次救命処置+外傷対応+悪化防止+安全な搬送まで視野に入れる
費用目安無料〜教材費程度(自治体による)無料〜数千円程度(教材費・受講料の有無は自治体による)

単に時間が長いだけではありません。「蘇生」だけでなく「悪化防止」と「安全な移動」まで含めて練習することで、現場での対応力が底上げされます。

小児や乳児への心肺蘇生法

私自身、これが上級救命講習を受ける最大のメリットのひとつだと感じています。成人の心停止は心臓由来のトラブルが関与するケースも多い一方で、子どもの場合は窒息や溺水など「呼吸が止まること」から重篤化するケースが相対的に多いため、最初の見立てや優先順位の考え方が変わります。

解剖学的な違いを理解する

成人と子どもでは体のつくりが違うため、力加減や手技の優先順位が異なります。例えば、胸骨圧迫(心臓マッサージ)において、成人は「少なくとも5cm(押し過ぎにも注意)」を目安に強く押しますが、乳児の場合は「胸の厚さの約1/3」を目安に、(単独救助者の基本として)指2本で行うなど、より繊細な技術が求められます。

乳児への心肺蘇生法のイラスト。指2本を使って胸の厚さの3分の1まで圧迫する様子
乳児への胸骨圧迫は指2本で。大人とは違う力加減が必要

上級救命講習では、小児(おおむね1歳以上〜思春期前後)や乳児(1歳未満)に対する蘇生法を、実技として練習する機会が増えます。なお、新生児(生後まもない時期)の蘇生は扱いが自治体によって異なり、概要に触れる程度の場合もあれば、講習対象として明記される地域もあります。受講案内の「対象」や「内容」を事前に確認しておくと安心です。

間違った力加減で助けようとして、逆に胸郭を痛めてしまうリスクを下げるためにも、正しい目安と手技を体で覚えておく意味は大きいです。

小さなお子さんがいるご家庭や、これから親になる予定の方、保育士さん、学校の先生など、子どもと接する機会が多い方にとっては、「大人のやり方しか知らない」という不安を払拭できる点で、非常に大きな意味があります。

8時間の講習時間で学ぶ技術

「8時間も何をするんだろう?」と思いますよね。実は心肺蘇生法以外にも、救急車が到着するまでの間に「状態を悪化させない」ための実践的なスキルを学ぶことが多いです。

傷病者管理法:悪化させない技術

普通救命では扱いが軽めになりやすい項目として「傷病者管理」があります。これは、救急車が来るまでの間、倒れている人の状態をこれ以上悪化させないための基本です。

  • 保温:体温低下は状態の悪化につながることがあるため、毛布や衣服で適切に保温します。
  • 体位管理(回復体位):意識がない場合、仰向けのままでは気道が塞がれたり、吐いたもので窒息したりする危険があります。これを防ぐために横向きの「回復体位」にする手順を学びます。
  • 観察:顔色、呼吸、反応、脈の触れ方などの変化を継続的に見て、救急隊に正確に引き継ぐための観察ポイントを整理します。

外傷手当と搬送法

さらに、災害や日常の事故を想定したスキルも学びます。出血している場合の「直接圧迫止血法」や、骨折が疑われる部位を身近なもので固定する「副子固定」の考え方。そして、担架がない場面で、毛布などを使って応急担架を作る工夫などです。あわせて、災害時は暗闇での避難導線づくり(停電時の目印)も重要なので、家庭の防災対策として蓄光テープの選び方(JIS規格JD級など)も参考になります。

無理な体勢での搬送は、救助する側が腰を痛める(二次被害)原因にもなります。上級講習では、身体の使い方(ボディメカニクスの考え方)を意識した、少ない力で安全に運ぶ手順に触れることが多いので、自分自身の身を守る(セルフディフェンス)という意味でも価値があります。

救急隊が到着した際、「どのような状態で、何を行い、どう変化したか」を整理して伝えられると、その後の処置がスムーズになりやすいです。上級講習ではこの「引き継ぎ」の意識も強く求められます。

実技に適した服装の選び方

これから受講する方が一番悩みやすいのが服装です。結論から言うと、とにかく動きやすい服装(スポーツウェアに近いもの)で行くことが鉄則です。

講習の大半は実技です。床にひざをついて胸骨圧迫を繰り返したり、人を抱えて運ぶ練習をしたりします。そのため、以下のような服装は避けてください。

NGな服装の例

  • スカート:実技が物理的に難しくなります。また、傷病者をまたぐ動作などもあるため避けるのが無難です。
  • 胸元が大きく開いた服:前傾姿勢になることが多く、気になって集中しづらくなります。
  • ヒールや革靴:踏ん張りが効かず、搬送の練習などで転倒する危険があります。
上級救命講習で避けるべきNGな服装(スカート、ヒール、胸元が大きく開いた服)のイラスト
講習当日の服装選び。スカートやヒールはNG

おすすめは、背中が出ない長めのTシャツに、伸縮性のあるジャージやスラックス、チノパンなどです。靴はしっかりと紐で結べるスニーカーを選んでください。「動きやすすぎて浮かないかな?」と心配する必要はありません。みんな汗だくになって必死に練習するので、むしろ「これから運動しに行く」くらいの格好で準備していくのが正解です。

資格の有効期限と更新手続き

上級救命講習で交付されるのは、自治体や実施団体によって名称が異なり、「技能認定証」や「修了証」などがあります。技能認定証の場合は有効期限(多くは3年間)が設定されていることがあり、更新(再講習)で継続できる運用が一般的です。一方で、修了証として交付され、有効期限を設けない自治体もあります。必ず、お住まいの地域や受講先の案内を確認してください。

「せっかく8時間も頑張ったのに、また受け直し?」と思うかもしれませんが、技能認定証の運用をしている地域では、有効期限内に「上級救命再講習」を受講すれば、認定を継続できることが多いです。

再講習は短時間で済む

この再講習は概ね3時間程度で実施されるケースが多く、費用も無料〜教材費程度というところがよくあります。定期的に再講習を受けることは、忘れていた手順を思い出し、最新のガイドライン(救急医療の基準は改訂されます)に知識をアップデートする機会にもなります。

技能認定証に有効期限がある運用の場合、期限を過ぎると「再講習」ではなく、新規として受け直しが必要になる扱いの地域があります。自治体から更新のお知らせが来るとは限らないので、スマホのカレンダーに期限の目安(例:3年後)を登録しておくことを強くおすすめします。

就職に役立つ上級救命講習のメリット

次に、仕事やキャリアに関するメリットです。ボランティア精神だけでなく、現実的な「資格」としての価値も気になりますよね。特に警備業界や福祉関係を目指す方にとっては見逃せないポイントです。

  • 履歴書に書く正式名称と書き方
  • 警備や防災センター要員への優遇
  • 試験の難易度と落ちるリスク
  • 受講に必要な費用とコスト
  • 自己投資となる上級救命講習のメリット

履歴書に書く正式名称と書き方

就職活動や転職活動でアピールする場合、履歴書の資格欄にはどう書けばいいのでしょうか。記載としては、交付された証明書の名称に合わせて、「上級救命講習修了」(または「上級救命技能認定」等)と書くのが一般的です。

履歴書の免許・資格欄に「上級救命講習修了」と記載し、キャリアの可能性を広げるイメージイラスト
履歴書への記載例。信頼と安全意識のアピールに
  • 記載場所:「免許・資格」欄
  • 記載内容:令和〇年〇月〇日 上級救命講習修了(または上級救命技能認定)

国家資格ではありませんが、消防機関やそれに準ずる公的性格のある団体が実施する講習であることが多く、一定の信頼性があります。特に、安全管理に対する意識の高さや、8時間の講習を完遂して手順を学んだという「学習意欲」「責任感」を示す材料として活用しやすいです。

面接官によっては「普通救命ではなく上級なんですね」と話題が広がることもあります。そこから「いざという時にチームや顧客を守れる人材でありたい」という自己PRにつなげやすいのもメリットだと思います。

警備や防災センター要員への優遇

上級救命講習の価値が比較的評価されやすいのが、警備業界や施設管理の領域です。特に、大型商業施設や高層ビルなどで働く「防災センター要員」は、緊急時の初動対応が求められるため、親和性が高いスキルと言えます。

資格手当が出るケースも

求人や会社の制度によっては、上級救命講習修了者を優遇していたり、入社後に取得を推奨・必須としていたりする場合もあります。また、会社によっては資格手当の対象となることもあります。手当の有無や金額は会社ごとに差が大きいので、求人票・就業規則・面接で確認すると、投資効果(ROI)を現実的に判断しやすくなります。なお、資格手当が付きやすい資格のイメージを掴みたい方は、別資格の例ですが「第2種衛生管理者」を2週間で合格する勉強法とメリットも参考になります。

未経験から警備業界を目指す場合でも、この講習を修了していることで「緊急時対応への意識が高い」と受け取られやすく、採用選考においてアピール材料になり得ます(ただし、評価の度合いは職種・企業によります)。

警備業以外にも、保育士、幼稚園教諭、ベビーシッター、介護福祉士、スポーツインストラクターなど、人の命を預かる職種では「安心材料」になりやすく、保護者や利用者からの信頼獲得につながることがあります。

試験の難易度と落ちるリスク

「試験がある」と聞くと、どうしても緊張してしまいますよね。「もし不合格になったら恥ずかしいし、時間も無駄になる…」と不安になる気持ち、よくわかります。

ですが、一般論としては、講習中の説明をきちんと聞いて実技に参加していれば、到達できる水準に設計されていることが多いです。

落とすための試験ではない

効果測定(筆記・実技の確認)は、受講者をふるい落とすための「選抜試験」というより、講習で学んだ知識と手順が定着しているかを確かめる「到達度評価」として実施されることが多いです。

上級救命講習の試験は定着を確認するためのものであり、合格できるレベルだと説明する指導員のイラスト
試験は「落とすため」のものではないので安心してください

筆記は〇×や選択形式が中心で、講習中に強調されたポイント(手順・注意点・安全確認など)から出題されやすい傾向があります。

実技についても、指導員が手順を見ながら確認し、間違いがあればその場で修正しながら進む形式が一般的です。求められるのは「完璧さ」よりも、「安全確認を含めて手順を継続し、必要なら周囲に協力を求める姿勢」です。

受講に必要な費用とコスト

これだけ充実した内容で、かつ仕事の資格としても使えるなら、費用も高いのでは?と思いますよね。しかし、ここが公的講習のありがたいところです。

自治体や主催団体によって異なりますが、消防署等が実施する講習では受講料が無料で、テキスト代や教材費(人工呼吸用の感染防護具、三角巾など)として数百円〜数千円程度が必要、という形がよく見られます。地域によっては受講料が設定されている場合もあるため、申込ページで「受講料」と「教材費」を分けて確認すると確実です。

一方で、民間企業や団体が提供している同等の救急法コース(BLSコースなど)を受講しようとすると、数千円から1万円以上になることもあります。金額だけで単純比較はできませんが、少ない出費と1日の時間投資で、日常で役立つスキルと修了の証明が得られる点は、コストパフォーマンスが高いと感じる人が多いはずです。

自己投資となる上級救命講習のメリット

ここまで、技術的な面や就職における実利的なメリットをお話ししてきましたが、結局のところ一番のメリットは「心の余裕」と「自信」だと私は思います。

「目の前で誰かが倒れたとき、自分は何もできないかもしれない」という漠然とした恐怖が、「自分にはやるべきことが分かっている」「ベストを尽くす準備ができている」という確信に変わる。この精神的な変化は、普段の生活における安心感にもつながります。

講習受講による心理的変化。恐怖が確信と自信に変わり、大切な人を守れるようになるイメージ
スキルだけでなく「自信」と「心の余裕」が手に入る

特に家族がいる方にとって、「自分が家族の命を守る最後の砦になれる」という自覚は、何物にも代えがたい財産です。8時間という時間は決して短くありませんが、その時間で得られるのは、あなた自身と、あなたの大切な人の未来を守るための力です。もし受講を迷っているなら、ぜひ一歩踏み出してみてください。その経験は、間違いなくあなたの人生にとってプラスの資産になるはずです。

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この記事を書いた人

はじめまして、管理人の「零(れい)」です。 このブログ「まっさらログ」にお越しいただき、本当にありがとうございます。
ここは、日常で感じたことや新しく始めたことを、「まっさら」な視点で記録していく雑記ブログです。

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