ニホンヒキガエルは絶滅危惧種?地域で違うランクと飼育の注意点

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ニホンヒキガエルは絶滅危惧種?地域で違うランクと飼育の注意点
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昔は雨上がりの庭先や近くの公園で、「ググッ、ググッ」という鳴き声とともによく見かけた大きなカエル。ふと「最近めっきり見なくなったな」と感じることはないでしょうか。

自然の中で佇むヒキガエルと、生態系への警告マークが表示されたヒキガエルの対比イラスト。場所によって保護対象にも駆除対象にもなる現状を表現。
ヒキガエルの二つの顔:希少種と外来種

ニホンヒキガエルやアズマヒキガエルといった、かつては身近だった生き物が絶滅危惧種になっているという話を聞くと、少し寂しい気持ちになりますよね。

実は同じヒキガエルでも、東京と北海道では扱いが真逆だったり、毒の有無や飼育に関するルールが複雑だったりと、その実態は意外と知られていません。「守るべき希少種」なのか、それとも「駆除すべき外来種」なのか。場所によって顔を変える彼らの実像に迫ります。

この記事では、懐かしいあいつらの現状について、専門的なデータを交えつつ、分かりやすく解説していきましょう。

この記事のポイント
  • 自分が住んでいる地域のヒキガエルが絶滅危惧種に指定されているか?
  • ニホンヒキガエルとアズマヒキガエルの見分け方や分布
  • 北海道などの特定の地域で駆除対象となっている深刻な理由
  • 法律を守った正しい飼育方法や捕獲に関するルール
目次

ニホンヒキガエルは絶滅危惧種?ランクと現状

「ヒキガエルって絶滅しそうなの?」という疑問に対して、実は一言で「はい」か「いいえ」で答えるのは非常に難しいんです。

国レベルの大きな視点で見た場合と、私たちが住んでいる地域レベルの視点で見た場合とでは、その評価が驚くほど乖離しています。ここでは、その複雑な現状を紐解いていきます。

  • アズマヒキガエルとの違いや分布の見分け方
  • 環境省レッドデータと都道府県の指定状況
  • 東京や大阪など都市部で減少する理由
  • 毒を持つガマの生態や寿命と大きさの特徴
  • 庭で見かける個体は縁起が良い家の守り神

アズマヒキガエルとの違いや分布の見分け方

まず最初に整理しておきたいのが、日本列島に生息しているヒキガエルの種類についてです。私たちが普段「ヒキガエル」や「ガマガエル」と呼んでいるものは、現在の整理では同じ種(Bufo japonicus)の中に、地域差の大きい2つの亜種がいる、と考えられています。

西日本に広く分布する「ニホンヒキガエル(Bufo japonicus japonicus)」と、東日本を中心に分布する「アズマヒキガエル(Bufo japonicus formosus)」です。

鼓膜と目の距離で見分ける

ニホンヒキガエルとアズマヒキガエルの顔のアップ比較画像。鼓膜と目の距離が離れているか近いかという識別ポイントを示した図。
ニホンヒキガエルとアズマヒキガエルの見分け方図解

この2種類、パッと見は「茶色くてイボイボした大きなカエル」でそっくりなんですが、顔つきをよーく観察すると違いが出ます。識別に使われる代表的なポイントの一つが「鼓膜」と「目」の距離(見え方)です。

【ここを見れば分かる!見分け方のポイント】

  • ニホンヒキガエル(西日本):
    鼓膜が比較的小さく、目と鼓膜の距離が離れて見えやすい傾向があります。
  • アズマヒキガエル(東日本):
    鼓膜が大きめで、目と鼓膜が近く見えやすい傾向があります。

ただし、分布の境界は「一本の線」でスパッと分かれるというより、地域によって入り組みます。たとえば、東日本型・西日本型の自然分布は、近畿北部~山陰の一部、紀伊半島の一部などで切り替わると整理されることがあり、境界付近では判断が難しい個体も出ます。

また、境界域に限らず、人為的な移動(別地域からの持ち込み)によって、本来の分布とは違う場所に定着して交雑が起きるケースも指摘されています。もし近所でヒキガエルを見かけたら、スマホで顔のアップを撮って鼓膜の見え方を確認してみると、「お、これはアズマっぽいな」なんて推測できて面白いですよ(ただし、最終的な同定には複数特徴の確認が必要です)。

環境省レッドデータと都道府県の指定状況

国のレッドリストでは対象外だが、地方版レッドデータでは都市部で高いランクに指定されている現状を解説したスライド。
都市部で絶滅が危惧されるヒキガエル

ここが今回の一番ややこしい、でも重要な部分です。「絶滅危惧種なのかどうか」という核心について触れていきます。

まず、国の評価としての環境省レッドリスト(いわゆる「レッドリスト2020」等)では、ニホンヒキガエル/アズマヒキガエル(Bufo japonicus)は掲載種(絶滅危惧カテゴリ)としては扱われていません。つまり、日本全体で見れば「直ちに絶滅が迫っている」とまでは評価されていない、という整理になります。

「なんだ、安心じゃん」と思いましたか?

実は、そうとも言い切れないのが怖いところなんです。

地域ごとの「地方版レッドデータ」では危険信号

国レベルでは掲載がなくても、都道府県ごとに独自に調査・作成している「地方版レッドデータ(レッドリスト/レッドデータブック)」を見ると、評価がガラッと変わります。特に開発が進んだ都市部では、すでに高いランクに指定されている地域が少なくありません。

主な地域の指定状況を以下の表にまとめてみました(同じ都道府県でも「区部・多摩」など地域区分で評価が異なる場合があります)。

東京都23区や大阪府などで絶滅危惧II類(VU)などに指定されている詳細なデータをまとめたスライド。
東京都・大阪府・京都府におけるヒキガエルのレッドデータ指定状況
地域・都道府県対象亜種指定ランク(目安)と現状
東京都(23区)アズマ絶滅危惧II類 (VU)
区部(23区)では繁殖地の減少などにより高いランク。東京都全体(本土部)では準絶滅危惧(NT)相当と整理される資料もあります。
大阪府ニホン絶滅危惧II類 (VU)
府内でも地域差があり、特に都市化の影響を受けやすい場所では記録が減りやすいとされます。
埼玉県アズマ準絶滅危惧(NT相当)
現時点で直ちに危機ではないが、生息条件の悪化で上位カテゴリに移行し得ると整理されます。
京都府ニホン準絶滅危惧 (NT)
府内での分布や生息環境の変化を踏まえ、注意が必要な種として整理されています。

このように、東京の23区内などでは「絶滅の危険が増大している」という高いランクに指定されています。これは、「国全体では掲載がなくても、あなたの住む街からは消えてしまうかもしれない」という警告になり得ます。

(出典:環境省『いきものログ レッドデータ検索』

東京や大阪など都市部で減少する理由

都市部でヒキガエルが減る主な原因である「U字溝への転落」「繁殖地の喪失」「道路でのロードキル」を解説したイラスト。
ヒキガエルが減少する3つの原因:U字溝とロードキル

なぜ、これほどまでに都市部で減ってしまったのでしょうか。最大の理由は、彼らのライフサイクルと現代の街づくりがミスマッチを起こしているからです。

「ガマ合戦」ができなくなった

ヒキガエルは早春(地域差はありますが概ね2月下旬〜4月頃)になると、水場に集まって繁殖します。多数のオスがメスに取り付くような繁殖行動が見られ、俗に「ガマ合戦」と呼ばれることもあります。

しかし、都市開発によって産卵場所となる池や湿地が失われたり、公園の水辺が改変されたりして、卵を産む場所自体が減っています。

死の壁「U字溝」とロードキル

さらに深刻なのが移動経路の分断です。

【ヒキガエルを追い詰める都市の罠】

  • 道路の分断(ロードキル):
    繁殖地へ移動する途中で車に轢かれるリスクが高くなります。
  • U字溝の悲劇:
    道路脇のコンクリート側溝(U字溝)に落ちると、特に小型個体は這い上がれないことが多く、長時間出られず衰弱・死亡する例が問題になります。
  • 乾燥した地面:
    アスファルトは乾きやすく、体表が乾燥しやすい両生類にとって移動のハードルが上がります。

特に、変態して上陸したばかりの子ガエルは体長が1cm前後と非常に小さく、段差や側溝は越えにくい「壁」になります。便利な街づくりが、彼らの移動と繁殖を阻む大きな要因になっているのが現実です。

毒を持つガマの生態や寿命と大きさの特徴

暗い話が続きましたが、ここでヒキガエルの「強さ」についても触れておきましょう。

ヒキガエルといえば、あの堂々とした大きさとイボイボした皮膚が特徴ですよね。日本産のカエルとしては最大級で、地域差はあるものの成体は体長10cmを超えることも珍しくなく、大型の個体では15cm前後に達する例もあります。

最強の防御「ブフォトキシン」

そして彼らを語る上で外せないのが、頭の後ろにある「耳腺(じせん)」などから分泌される白い毒性物質です。一般に「ブフォトキシン」と呼ばれる成分群(強心作用を持つ化合物などを含む総称)が知られ、捕食者の口に入ると強い不快感や中毒症状を起こし得ます。

ただし「完全無敵」というわけではなく、捕食者側にも関係はさまざまです。たとえばヤマカガシのように、ヒキガエル由来の成分を利用することで知られるヘビもいます。

この防御力もあって、カエルとしては長生きしやすいグループです。野生下の寿命は環境や捕食圧で大きく左右されますが、飼育下で適切に管理できれば10年以上生きることもあり、長寿例として20年近い記録が語られることもあります(個体差・飼育環境差が大きい点は注意)。

庭で見かける個体は縁起が良い家の守り神

昔から「カエル」は「無事帰る」「お金が返る」「若返る」などの語呂合わせで、縁起が良い生き物として愛されてきました。

特にヒキガエルは、その貫禄ある姿から「家の守り神」とされることも多いです。実際に、彼らは庭にとっての益になる面もあります。

夜行性で、夜な夜な庭をパトロールし、ダンゴムシ、ナメクジ、コオロギなどの小動物や昆虫類を食べるため、結果として害虫対策に寄与することがあります(環境や個体によって食性は変わります)。

もしあなたの家の庭にヒキガエルが住み着いていたら、それは餌となる小動物がいて、隠れる場所がある「暮らしやすい環境」のサインかもしれません。

毒があるといっても、素手で触った後に目や口などの粘膜を触らない、触ったら手洗いをする、ペットが噛みつかないようにする、といった基本を守れば過度に恐れる必要はありません。追い払ったりせず、そっと見守ってあげるのが一番の保護活動になります。

ニホンヒキガエルなど絶滅危惧種の飼育と法律

ここからは、少し視点を変えて「飼育」や「法律」の話をしていきましょう。実はヒキガエル、場所によっては「守るべき希少種」ではなく「排除すべき侵略者」になっているって知っていましたか?

  • 北海道では国内外来種として扱われる問題
  • 販売価格や生体の値段と購入の可否
  • 捕獲は違法?法律や条例による規制の解説
  • オタマジャクシからの飼育方法と餌の注意
  • まとめ:ニホンヒキガエルは絶滅危惧種か

北海道では国内外来種として扱われる問題

本州から北海道へ人為的に持ち込まれたアズマヒキガエルが、国内外来種として生態系を脅かしていることを示す地図イラスト。
北海道における国内外来種アズマヒキガエルの分布拡大

本州では開発によって減っている地域があるヒキガエルですが、北海道では事情が全く違います。

北海道では本来の自然分布としてヒキガエルは確認されておらず、人為的に持ち込まれたアズマヒキガエルが定着・拡大した地域が問題になっています。北海道の外来種リスト(ブルーリスト)に掲載されるなど、在来生態系への影響が懸念されています。

これを、国内の別の場所から持ち込まれた外来種という意味で「国内外来種」と呼びます。

在来種を殺す「毒の罠」

ヒキガエルのオタマジャクシを捕食したエゾサンショウウオの幼生が、毒(ブフォトキシン)によって中毒死してしまうメカニズムの図解。
ヒキガエルの毒が在来種に与える影響

なぜ北海道でヒキガエルが問題なのか。それは単に場所取り競争をするからではありません。

研究により、北海道在来の両生類の幼生(例:エゾアカガエルやエゾサンショウウオ)が、孵化直後のアズマヒキガエル幼生を捕食すると、ヒキガエル幼生の毒性によって捕食した側が高い確率で中毒死することが実証されています。さらに、エゾアカガエルはヒキガエル幼生を複数個体で分け合って食べたり、毒で死んだ個体の遺骸を食べたりすることで影響を受けやすいことも示されています。

このように「餌だと思って食べたら致命的だった」という状況は、生態系の中で深刻なリスクになります。そのため北海道では、地域によって防除(被害の抑制)が進められてきました。

場所が変われば、評価も変わってしまう。人為的な移入が招いた、悲しい現実です。

販売価格や生体の値段と購入の可否

ヒキガエルは、実はペットとしても人気があります。爬虫類ショップや即売会などで見かけることがあり、価格は大きさや色、流通状況によって変わりますが、目安としては数千円程度で販売されることがあります。

これらを購入・飼育すること自体は、全国一律で直ちに違法となるケースばかりではありません。ただし、地域の条例や施設のルール、そして何より「移動・放逐(野外に放すこと)」が重大な問題を起こす点には注意が必要です。

都市開発による減少も外来種問題も人間の責任であることを示し、ペットとしてのヒキガエルを絶対に野外へ放してはいけないと警告するスライド。
ヒキガエルの飼育責任と野外放流の禁止

それは「絶対に野外に放さないこと」です。

「引っ越しで飼えなくなった」「大きくなりすぎて困った」からといって、近所の公園や川に逃がすのは最悪の行為です。

  • 地域の遺伝子を汚染してしまう(違う地域の個体が混ざる)。
  • カエルツボカビ症などの病気を野生に広げてしまう。
  • 北海道のように、生態系を破壊してしまう。

カエルを飼うということは、「その個体が死ぬまで面倒を見る」という契約を交わすことです。その覚悟がないなら、飼うべきではありません。

捕獲は違法?法律や条例による規制の解説

「子供と公園でヒキガエルを見つけた。捕まえて家で飼ってもいいの?」

これも夏休みなどの時期によくある疑問です。

結論から言うと、国の法律である「鳥獣保護管理法」は、主に野生の鳥類・哺乳類を対象としており、ヘビなどの爬虫類やカエルなどの両生類は対象外と整理されています。ですので、ヒキガエルを捕まえたからといって、直ちにこの法律違反になるとは限りません。

ただし、どこでも自由に捕まえていいわけではないので注意が必要です。

【ここでの捕獲はNGの可能性大!】

  • 国立公園・国定公園の特別地域:
    自然公園法の規制対象になります。特に特別保護地区では採取が原則として厳しく制限され、特別地域でも行為内容によって許可が必要になる場合があります。
  • 都市公園などの条例:
    自治体が管理する公園によっては「生き物の持ち帰り禁止」という独自のルールを設けている場合があります。看板などをよく確認しましょう。
  • 私有地・寺社仏閣:
    勝手に入れば不法侵入です。

特に都市部で高いランクに指定されている地域では、保全の観点からも無闇な持ち帰りは控えるべきです。「見つけても観察だけにして、その場でバイバイする」。これが、今の時代に合った野生動物との付き合い方かなと思います。

オタマジャクシからの飼育方法と餌の注意

もし、ルールを守った上でオタマジャクシから育てることになった場合、覚悟しておくべきことがあります。

春先に大量のオタマジャクシを見つけて持ち帰るのは簡単ですが、一番の難関は「上陸直後」に訪れます。

「魔の1cm」を乗り越えられるか

指先にのる体長約1cmの子ガエルの写真と1円玉の比較。オタマジャクシからカエルになった直後の飼育が非常に難しいことを解説。
陸直後のヒキガエルの大きさと飼育難易度

ヒキガエルのオタマジャクシは、初夏に変態してカエルの姿になりますが、その時のサイズはおおむね1cm前後。小さな硬貨に乗ってしまうほど極小です。

この時期の子ガエルは非常にデリケートで、乾燥するとすぐに弱ってしまいます。さらに難しいのが餌です。

口が小さすぎるため、ペットショップで売っている最小のコオロギ(ピンヘッド)ですら大きすぎて食べられないことが多いです。

野外からトビムシやアブラムシなどの極小の虫を採取してくるか、ショウジョウバエを繁殖させて与える必要があります。

ここで餓死させてしまうケースが本当に多いので、「カエルになってからが本当の勝負」だと思ってください。成体になれば、人工飼料や大きめの昆虫を食べてくれることもあり飼育は比較的楽になりますが、そこまで育てるのはかなりの知識と根気が必要です。

まとめ:ニホンヒキガエルは絶滅危惧種か

自然の中で生きるヒキガエルを観察する様子。捕獲や飼育よりも、そっと見守ることが彼らとの共存のマナーであると伝えるイラスト。
野生のヒキガエルとの共存とマナー

ニホンヒキガエル(アズマヒキガエル)は、国レベルのレッドリストでは掲載がない一方で、私たちの身近な都市部では、環境の変化によって確実に姿を消しつつある地域がある生き物です。

その一方で、北海道のように人間が持ち込んだせいで、生態系を壊す「問題種」になってしまった場所もあります。これはカエルの責任ではなく、私たち人間の責任です。

もしあなたが運良く、雨上がりの庭や公園で彼らに出会えたら、それはとてもラッキーなことです。

「こんなコンクリートジャングルの中で、たくましく生きているんだな」と、温かい目で見守ってあげてくださいね。そして、もし飼育するなら「墓場まで付き合う」覚悟で、絶対に自然界には戻さない。それが、彼らと人間がこれからも共存していくための、最低限のマナーだと私は思います。

ニホンヒキガエルは絶滅危惧種?地域で違うランクと飼育の注意点

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この記事を書いた人

はじめまして、管理人の「零(れい)」です。 このブログ「まっさらログ」にお越しいただき、本当にありがとうございます。
ここは、日常で感じたことや新しく始めたことを、「まっさら」な視点で記録していく雑記ブログです。

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