スズメは絶滅危惧種なのか?数が減少する理由と私たちにできること

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「チュンチュン」と鳴きながら飛び回るスズメ。誰もが一度は目にしたことがある、日本でもっとも身近な野鳥のひとつです。子どもの頃、公園や庭先でパンくずをまくと群がってきた――そんな記憶を持つ人も多いでしょう。

しかし近年、「スズメが減っている」「絶滅危惧種になるのでは?」という声が聞かれるようになりました。街を歩いても、昔ほどスズメの姿を見かけない……そう感じる人は少なくありません。

果たして、スズメは本当に絶滅危惧種なのでしょうか? この記事では「スズメ 絶滅危惧種」というテーマを中心に、スズメの現状や数が減少している理由、絶滅危惧の可能性、さらに私たちにできる保護活動について詳しく解説します。最後には観察の楽しみ方も紹介しますので、スズメとの付き合い方を改めて考えるきっかけにしてください。

目次

スズメは本当に絶滅危惧種なのか

絶滅危惧種とは何か

まず「絶滅危惧種」という言葉の意味を整理しましょう。絶滅危惧種とは、自然環境の悪化や人間活動の影響により、将来的に絶滅するリスクが高い生物を指します。日本では環境省が作成する「レッドリスト」によって分類され、世界では国際自然保護連合(IUCN)が世界規模での評価を行っています。

  • 絶滅(EX):すでに絶滅したと確認された種
  • 野生絶滅(EW):野生では絶滅し、飼育下でのみ生存
  • 絶滅危惧IA類(CR):近い将来に絶滅の危険が極めて高い
  • 絶滅危惧IB類(EN):絶滅の危険が高い
  • 絶滅危惧II類(VU):絶滅の危険が増大している

スズメの現状とレッドリストでの位置づけ

では、スズメは現在どう評価されているのでしょうか。日本国内では、スズメは環境省のレッドリストには掲載されていません。つまり「現時点では絶滅危惧種に指定されていない」というのが公式見解です。

しかし、安心はできません。調査によると、1980年代から2020年代にかけて日本のスズメの個体数は3分の1〜半分程度に減少したとされています。特に都市部や農村部で顕著に減っており、将来的に「絶滅危惧II類」へ指定される可能性も指摘されています。

スズメの数が減少している理由

都市化と生息環境の変化

スズメの減少に大きく影響しているのが「都市化」です。かつて日本の住宅は瓦屋根が多く、スズメは瓦の隙間に巣を作っていました。しかし近年は耐震性や気密性を重視した住宅が主流となり、スズメが巣を作れる場所が激減しました。

さらに、公園や庭の植栽が整理されすぎてしまい、隠れる場所も減少。スズメにとって「住みにくい街」になってしまったのです。

食べ物や巣の減少

スズメは雑食性で、虫や穀物、パンくずなどを食べます。かつては田んぼや畑が身近にあり、豊富な餌を得られました。しかし農地の減少や農薬使用の影響により、餌となる昆虫や種子が少なくなっていると考えられています。

また、巣材に使えるわら屋根や木の枝も減少。都市化と農業の変化が重なり、スズメの生活基盤が揺らいでいるのです。

外来種や天敵の影響

さらに近年は、外来生物や天敵の存在もスズメにとって脅威となっています。

  • ヒヨドリやムクドリ:スズメより体が大きく、餌場や巣を奪う
  • カラス:巣やヒナを襲う
  • ネコ:スズメを捕食する

特に都市部ではカラスやネコが多く、スズメの繁殖成功率に影響していると考えられています。

スズメの生態と人間との関わり

日本文化におけるスズメ

スズメは古くから日本人に親しまれてきました。童謡「スズメの学校」や昔話「舌切り雀」にも登場し、俳句の季語としても用いられます。文化的に「身近で愛らしい鳥」として根付いている存在なのです。

農業・庭との関係

農村部ではスズメは「稲を食べる害鳥」として嫌われる一方で、虫を食べてくれる益鳥でもあります。庭や畑にやってきては害虫を食べ、自然のバランスを保つ役割を担ってきました。

つまり、スズメは人間と共存してきた象徴的な鳥ともいえるのです。

スズメ保護のためにできること

個人ができる取り組み(エサ場・巣箱設置)

私たちにもできることがあります。

  • ベランダや庭に餌台を設置(米粒や小鳥用の餌を置く)
  • 巣箱を設置し、繁殖の場を提供
  • ネコを外に放さないことで捕食を減らす

ただし、野鳥への給餌は地域や時期によって禁止されている場合もあるので注意が必要です。

行政や研究機関の取り組み

一部の自治体や研究者は、スズメの個体数調査や巣箱設置プロジェクトを行っています。特にヨーロッパでは「ハウススパロー(イエスズメ)」が激減しており、保護運動が盛んです。日本でも市民参加型のモニタリングが広がりつつあります。

スズメ観察を楽しむ方法

季節ごとの行動パターン

  • 春:巣作り、子育ての時期
  • 夏:ヒナが巣立ち、群れで生活
  • 秋:稲穂や種子を食べる姿が見られる
  • 冬:体を寄せ合って越冬

観察する際は、望遠鏡や双眼鏡を使うと表情や動きがよくわかります。

子どもと一緒に楽しめる観察ポイント

  • 公園や学校の校庭
  • 駅前の植え込み
  • 住宅街の電線

日常生活の中でも、ちょっと視線を上げればスズメは見つかります。

コラム:世界のスズメ事情

ヨーロッパでは「ハウススパロー(イエスズメ)」が急激に減少しており、イギリスでは絶滅危惧種に指定されています。インドや中国でも都市化の影響で数が激減。スズメは世界的に「都市の鳥の象徴」であり、その減少は人間社会の変化を映し出しているのです。

まとめと読者へのアドバイス

スズメはまだ日本で「絶滅危惧種」には指定されていません。しかし個体数の減少は確実に進んでおり、将来的にそのリストに入る可能性は否定できません。

私たちにできることは、まず「気づく」こと。身近な野鳥の変化に目を向け、小さな取り組みを始めることが大切です。スズメを守ることは、私たちの暮らしと自然との関係を見直すきっかけにもなるのです。

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