うなぎは絶滅危惧種なのになぜ食べる?現状と今後の対策を解説

当ページのリンクには広告が含まれています。
うなぎは絶滅危惧種なのになぜ食べる?現状と今後の対策を解説
  • URLをコピーしました!

夏になると香ばしい匂いに誘われて、ついつい手が伸びてしまううなぎの蒲焼きですが、絶滅危惧種に指定されているのになぜ食べることができるのか、不思議に思ったことはありませんか。

ニュースでは資源が減っていると聞くのに、スーパーやコンビニでは大量に並んでいる光景を見ると、本当に危機的な状況なのか分からなくなってしまうこともあるかもしれません。

日本人として古くから親しんできた食文化を守りたい気持ちと、食べるなという批判的な意見の間で、私たちがいつまでこの味を楽しめるのか不安を感じている方も多いはずです。

この記事では、そんな消費者の矛盾や疑問について、資源の現状や流通の裏側を整理しながら、今後どう向き合っていくべきかを一緒に考えていきたいと思います。

この記事のポイント
  • なぜ絶滅危惧種なのにスーパーで売られているのかその理由
  • 密漁や不透明な流通ルートなど私たちが知らない裏側
  • 完全養殖や代替食品の技術がどこまで進んでいるか
  • これからもウナギを食べ続けるために私たちができること
目次

うなぎは絶滅危惧種なのになぜ食べる?現状と背景

まずは、私たちが抱いている根本的な疑問、「そもそも絶滅しそうな魚をなぜ食べているのか」という点について掘り下げていきます。生物学的な危機と、店頭での豊富な供給感のギャップには、資源管理・流通・養殖構造など、複数の事情が絡み合っています。

  • うなぎの密漁と流通の実態
  • うなぎは食べるべきではないという倫理
  • 土用の丑の日と大量消費の矛盾
  • ニホンウナギが減少する複合的な原因
  • シラスウナギの価格高騰と取引

うなぎの密漁と流通の実態

うなぎの密漁と流通の実態
イメージ:まっさらログ

私たちが普段スーパーで見かける「国産うなぎ」。その多くは国内の養殖場で育てられたものですが、養殖に使われる稚魚「シラスウナギ」は希少性が高く、年によって価格が大きく変動します。高値で取引されやすい構造があるため、各地で密漁や不正流通が問題化し、取り締まりや制度整備が続いているのが現実です。

台湾・香港・日本の不透明な三角貿易

特に懸念されるのが、複数の地域を経由して産地や採捕の経緯が見えにくくなる「ロンダリング(洗浄)」のような流れです。台湾はシラスウナギの輸出を禁止しているため、正規ルートで台湾から国外へ出る取引は想定されません。それにもかかわらず、周辺地域を経由して出所が分かりにくい稚魚が流通し得る点が問題視されています。

消費者が店頭で「国産」という表示を見て安心してしまうのは無理もありませんが、その親となる稚魚がどこでどのように採捕され、どのルートで流通したのかを、消費者側が表示だけで把握するのは簡単ではありません。私たちが食べているうなぎの一部は、こうした出所が見えにくい流通リスクと無縁ではないという点は、知っておくべき現実だと思います。

うなぎは食べるべきではないという倫理

「絶滅危惧種なら、食べるのをやめればいいじゃないか」という意見は、非常に真っ当な正論です。国際自然保護連合(IUCN)はニホンウナギ(Anguilla japonica)を2014年にレッドリストで「Endangered(EN)」に位置づけました。生物学的な観点だけで見れば、資源への負荷を下げ、回復を優先すべき段階にあるといえます。(あわせて、国内の絶滅危惧種の原因と対策の考え方としてヤンバルクイナが絶滅危惧種の理由とは?飛べない鳥の現状と回復も参考になります。)

しかし、日本では「食文化」という側面が非常に強く、これを単なる環境問題として割り切れない難しさがあります。「ハレの日」のご馳走として、あるいは伝統的なスタミナ源として、私たちの生活に深く根付いていますよね。多くの消費者にとって、「絶滅の危機」という知識はあっても、目の前の美味しさや習慣を即座に断ち切る動機にはなりにくいのが現状です。

エシカル消費の視点 最近ではSDGsの浸透もあり、「美味しいから食べる」だけでなく「倫理的に正しいか」を基準にする消費者が増えてきています。将来的には、資源状況や社会の価値観次第で、うなぎを食べる行為自体がより厳しい目で見られる可能性もあります。

土用の丑の日と大量消費の矛盾

土用の丑の日と大量消費の矛盾
イメージ:まっさらログ

私が個人的に一番「もやっ」とするのが、この土用の丑の日です。天然のうなぎは、一般に秋〜冬にかけて脂が乗りやすいと言われます(※養殖は飼育環境で出荷時期を調整できるため、旬の感じ方は一概には言えません)。夏の土用の丑の日は、江戸時代の販促が起源とされ、平賀源内の逸話が有名な話ですよね。

もちろん、イベントとして楽しむのは素敵なことですが、「需要が特定の日に集中して大量に動く」という構造は、資源管理・流通管理の観点から見ると負荷が高まりやすいのも事実です。特定の日に消費を集中させるのではなく、年間を通して適正な量を分散して楽しむスタイルにしていくべきだ、という考え方もあります。

ニホンウナギが減少する複合的な原因

そもそも、なぜここまでうなぎが減ってしまったのでしょうか。乱獲だけが原因かと思いきや、実はもっと複合的な要因が絡み合っていると考えられています。漁獲圧に加えて、私たちが暮らす環境の変化も大きく影響している可能性があります。

  • 過剰漁獲(乱獲):特に稚魚段階(シラスウナギ)での採捕圧が高いと、将来の成魚が減りやすい。
  • 生息環境の悪化:河川改修や護岸整備で、隠れ家や遡上経路が損なわれる場合がある。
  • 海洋環境の変化:海流・水温などの変動が、仔魚から稚魚への過程や回遊に影響する可能性がある。

コンクリート護岸が奪う「隠れ家」

特に見落とされがちなのが、河川環境の変化です。うなぎは泥や石の隙間、岸際のえぐれなどに身を隠す性質があるため、河床や岸が単調になると生息しにくくなることがあります。隠れ場所の多い環境ほど生息に適しやすいという考え方は、うなぎに限らず多くの水生生物で共通しています。私たちが便利な生活を求めて自然を変えてきた結果が、巡り巡って食卓に影響しているのかもしれません。(水辺環境の変化と「私たちにできること」をより具体的に知りたい場合は、アメンボが絶滅危惧種?身近な水辺から消える原因と守る方法も役立ちます。)

シラスウナギの価格高騰と取引

ニュースで「今年のうなぎは高い」といった話題をよく耳にしますが、その背景の一つがシラスウナギの価格変動です。シラスウナギは漁獲量の年変動が大きく、不漁の年には取引価格が大きく跳ね上がることがあります。養殖業者は高い稚魚を買い取って育てるため、最終的な蒲焼きの価格も上がりやすくなります。

また、稚魚価格が高いほど、不正流通の「うまみ」も生まれやすくなります。これを受けて日本では、シラスウナギの池入れ量(養殖池に入れる量)の上限設定、採捕や取引に関する報告・記録の強化など、資源管理と流通の適正化に向けた対策が進められています。なお、取引情報の伝達や記録の作成・保存などの義務は、制度上「2025年から一律に開始」というより、対象や施行時期が段階的に整理されている点は押さえておきたいところです。

こうした状況を受け、国も資源管理に本腰を入れ始めています。シラスウナギの池入れ量(養殖池に入れる量)の上限設定や、漁獲の報告義務化など、様々な対策が講じられています。(出典:水産庁『ウナギをめぐる状況と対策について』

絶滅危惧種のうなぎをなぜ食べるか考える未来

現状を知れば知るほど「もう食べられないのかな」と暗い気持ちになりますが、決して絶望的な話ばかりではありません。技術の進歩や私たちの意識の変化によって、うなぎとの新しい付き合い方が見えてきています。

  • うなぎの完全養殖はいつ実用化する?
  • うなぎの代替食品である謎うなぎの味
  • ワシントン条約での規制と今後
  • 私たちができる持続可能な選び方
  • うなぎは絶滅危惧種なのになぜ食べるのかの結論

うなぎの完全養殖はいつ実用化する?

うなぎの完全養殖はいつ実用化する?
イメージ:まっさらログ

これが一番気になるところですよね!卵から育てて、また卵を産ませる「完全養殖」。ニホンウナギでは、研究機関により2010年に「完全養殖(生活環の閉鎖)」の達成が報告されています。ただし、研究段階で「できる」ことと、商業的に「安く・大量に・安定して供給できる」ことの間には大きな差があり、普及の壁になっています。

項目天然シラスウナギ完全養殖(人工種苗)
種苗コスト(1匹)約500〜600円約1,800円(公表資料ベースの目安)
供給不安定理論上は安定
課題資源枯渇専用設備の建設費、コスト

人工種苗は、以前は1尾あたり数万円規模とも言われることがありましたが、量産水槽や飼育技術の改良により、近年は「1,800円程度」といった目安が公表される段階まで下がってきています。それでも天然の稚魚に比べるとまだ開きがありますし、安定して大量に育てるための設備・運用のハードルも残ります。私たちが気軽に買える価格になるにはもう少し時間がかかりそうですが、希望の光であることは間違いありません。

うなぎの代替食品である謎うなぎの味

うなぎの代替食品である謎うなぎの味
イメージ:まっさらログ

完全養殖を待つ間に、急速に進化しているのが「代替うなぎ」の世界です。特に話題になったのが、日清食品の「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」ではないでしょうか。動物由来の原料を使わずに、大豆たんぱくなどでうなぎの食感や見た目を再現したものです。

白身のふわっとした層、脂身のとろっとした層、そして皮の層を重ねて作るなど、構造まで寄せているのが特徴で、見た目の再現性にも力が入っています。実際の感想としても「食感がリアルに感じる」「骨がないから食べやすい」といった声が見られます。「本物じゃないと嫌だ」というこだわりを少し緩めて、ハレの日の気分を楽しむための新しい選択肢として、十分にアリなんじゃないかなと思います。

ワシントン条約での規制と今後

国際的な動きも見逃せません。2025年に開催されたワシントン条約(CITES)の締約国会議(CoP20)では、国際取引の監視を強める目的で、ウナギ類(Anguilla属)を附属書IIに加える提案が議論されました。結果として附属書IIへの掲載は見送られましたが、議論が消えたわけではなく、取引の透明性や持続可能性を求める国際社会の圧力が続いているのは事実です。(ワシントン条約(CITES)の規制が現実の流通にどう影響するかは、ラッコ絶滅危惧種対策とは?日本の現状と私たちにできることの整理が参考になります。)

もし将来的に規制が強化されれば、ただちに「輸入が全面停止」になるとは限らないものの、輸出入に許可証や科学的根拠に基づく手続きが求められ、調達の手間・コストが増える可能性があります。そうなれば、うなぎは庶民の手が届きにくい「高級品」に近づくか、あるいは流通量が減って食卓から遠のくこともあり得ます。国際社会からの目が年々厳しくなっていることは、私たちは自覚しておく必要があります。

私たちができる持続可能な選び方

では、私たち消費者はどうすればいいのでしょうか。「一切食べない」というのは極端かもしれませんが、今まで通りの大量消費を続けるのも無理があります。私が思う、現実的なアクションは以下の3つです。

明日からできる3つのアクション

  1. ハレの日だけにする:なんとなく食べるのをやめ、特別な日のご馳走として大切に食べる。
  2. 代替品を試してみる:「謎うなぎ」やナマズなど、新しい味を面白がって取り入れてみる。
  3. お店を選ぶ:可能であれば、資源管理に取り組んでいる養殖業者やお店を応援する。

うなぎは絶滅危惧種なのになぜ食べるのかの結論

「うなぎは絶滅危惧種なのになぜ食べるのか」。その答えは、私たちがまだ「食文化」と「資源保護」の折り合いをつけ切れていないからだと言えます。今のままのペースで無自覚に食べ続ければ、食べられなくなる(または極端に高価になる)可能性が高まるのは確かでしょう。

でも、だからこそ、今ある一食を大切にする意識が生まれるはずです。完全養殖の技術に期待しつつ、代替食品も楽しみながら、うなぎという素晴らしい食文化を細く長く未来へ繋いでいく。それが、今の私たちにできる精一杯の誠実な態度なのかもしれませんね。

うなぎは絶滅危惧種なのになぜ食べる?現状と今後の対策を解説

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

はじめまして、管理人の「零(れい)」です。 このブログ「まっさらログ」にお越しいただき、本当にありがとうございます。
ここは、日常で感じたことや新しく始めたことを、「まっさら」な視点で記録していく雑記ブログです。

目次